ポート研磨をDIYでやってみよう
エンジンヘッドオーバーホールのついでにエンジンチューンの一つであるポート研磨をやってみようと思います。
当方、チューナーでも無いし、このエンジンの加工として正しいかはわかりませんが、単純にやってみたいという好奇心ではじめましたが、作業工程をご紹介します。
目次
紙やすりロール作成
まずは道具ですが、ポート研磨には紙やすりロールが良いと思います。
超硬バーだと削りすぎてしまうので、バルブガイドを削らないのであれば紙やすりロールがベストだと思います。
市販の紙やすりロールは結構いいお値段だし、かなりの数を消費するので、自作しました。
紙やすりは先端部分を斜めにカットし、巻いていき後端をガムテープで固定します。
後端にはドリルをはめられるよう内側をカットし隙間を確保しておきます。
紙やすりの番手ごとに複数用意しておきます。
作り方はこんな感じです。
先端をテーパー状にするために斜めにカットし、ドリルを挿すための隙間を確保するため、こちらも斜めにカットします。
回転方向に習うように巻きます。
吸気ポート研磨
まずは吸気ポートから見て行きましょう。
ポートの左右に鋳造のためか、バリのような出っ張りがあります。
また、バルブシートの下側にもバリのようなものがあります。
ホンダのタイプRはバルブシートあたりを手作業で研磨しているみたいですね。
早速、バルブシート下側のバリを研磨しました。
最初にガムテープで保護しましたが、邪魔だったので剥がしました。
慎重に作業すれば無くても平気という判断です。
以下は超硬バーで研磨した結果ですが、削りすぎでした。
なので、おすすめは紙やすりロールです。
削りすぎはどうにもやり直せないので、慎重に作業する必要があります。
ポートとポートの間の部分については、ナイフエッジという言葉に憧れてシャープな形状にしたかったので、超硬バーで研磨しました。
ここも削りすぎで形状をやや失敗してリカバリーに苦労しました。
時間がかかっても紙やすりロールのほうが確実だと思いました。
超硬バーで形状がある程度出せたら、紙やすりロールで削ります。
下記はバルブシート下側を紙やすりロールで研磨していった状態です。
バルブガイドを削るというのもありますが、カリカリにチューンしたいわけではないし、耐久性を落とすのは嫌だったので、バルブガイドには手を付けませんでした。
賛否両論ありますが、吸気ポートの鋳造のざらざらをツルツルになるように全体的に削っていきます。
ざらざらしていたほうが、ガソリン気化が進むとかいろいろ解釈がありますが、実態はわかりませんし、馬力的にもそんなに変わらないのではないかと思います。
ポートの間の仕切りはチューニングエンジンのように、とがった形状にしたかったですが、私の腕ではこのくらいが限界でした。無加工の状態よりはだいぶ空気が流れやすいんじゃないかと思います。
4気筒分、同じように加工をしていきます。
紙やすりの番手を上げていくと、チューニングエンジンっぽい感じになってきます。
インジェクター周りのくぼみは自前の工具では研磨できなかったのでそのままにしました。
排気ポート研磨
続いて排気ポートです。加工自体は吸気ポートと同じような感じです。
コルトの場合は、エキマニの大きさと排気ポート出口の大きさのズレが気になったので、出口を拡大することにしました。
削りすぎると冷却水路に穴開けたりとか、流速が落ちてパワーダウンするとかありますが、とりあえずやってみました。
2mmほど外周を広げましたが、冷却水路の問題はありませんでした。
マジックで削るところをマーキングして、4気筒同じように削っていきます。
この加工が正しいかどうかは分かりませんが、いかにもチューニング加工という感じで作業自体は非常に楽しいですね。
排気ポートもポートの集合部を削って、排気がスムーズに抜けるように加工しました。
ターボ車はNAのようにナイフエッジ加工すると、熱で溶けたりするようなので、ほどほどにしたほうが良いようです。
排気ポートもバルブガイドには手を付けませんでした。
出口の拡大は紙やすりロールでは時間がかかりすぎるので、超硬バーでおおざっぱに削ってから紙やすりロールで仕上げました。
休日の昼間のみの作業なので、何週にかわたって作業をしました。
用意しておいた紙やすりロールもどんどん消費していくので、何度かホームセンターに紙やすりを買いに行くことになりました。結構量を使うので、多めに用意しておいたほうがいいでしょう。
紙やすりの番手を上げていき、カーボンが付きにくいよう鏡面を目指します。
チューニングエンジンのようにピカピカに仕上げるのはかなり手間がかかるため、このあたりで妥協しました。
紙やすりロールの仕上げは妥協しましたが、最後はバフと青棒で磨きました。
排気ポートの最終形態はこんな感じです。
燃焼室研磨
燃焼室の容積を変えるような研磨はとても出来ないので、表面を若干慣らす程度です。
吸気ポートと排気ポートの間に出っ張りがあったので、そこは削り取りました。
バルブシートを傷つけないように、細かめの紙やすりロールで磨きました。
ヘッド面研
エンジンヘッドの研磨作業の仕上げとてヘッド面研を行いました。
ここは精度が肝になるため、業者さんに依頼しました。
この手の作業は埼玉方面にショップさんが多いですが、静岡にあるHead Turnersさんに打診したら快く引き受けてくれました。直接持ち込んだのですが、いろいろな話が聞けて面白かったですね。
面研は最小面研でお願いしたところ0.05mmで済みました。
バリ取りで傷を付けてしまった部分も0.05mm面研できれいに消えました。
サービスマニュアルには各限度基準値や取り外し手順、組み付け手順、締め付けトルクなどの情報が記載されているので、用意しておくことをお勧めします。
以下、面研の限界値について記載のある箇所の抜粋です。
研磨作業まとめ
長きにわたったエンジンヘッドの研磨作業ですが、ある程度自分でも納得できる仕上がりにすることが出来ました。
このまま組まないで飾っておきたいくらいですが、そうもいかないので次の工程に進みます。
研磨作業自体はそれほど難しいことはありませんが、削り過ぎないようにすることが重要だと思いました。
燃焼室の容積を合わせる燃焼室研磨や、エンジン出力を搾り出すようなポートの整形などは個人では厳しいので、チューナーに任せるとして、エンジンオーバーホールついでのプチチューニングであれば個人でも出来ると思います。
ポート研磨したエンジンなんて、タイプRでも買わないと普通はありませんから、満足感はかなり高いです。
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