エンジンオーバーホール無しにカーボン除去できないか
エンジン分解を伴うオーバーホールではなく、お手軽に費用も掛からずカーボンを除去する方法はないかと考えました。
プラグホールから燃焼室にエンジンコンディショナーをぶち込んで、カーボンを除去するやり方がありますが、それの応用編として、排気ポートのカーボンを除去する方法をいろいろな液剤で実験比較してみたのでご紹介します。
目次
- 1.排気ポートの確認
- 2.ピストン上死点の合わせ方
- 3.使用してみた液剤
- 4.排気ポートのカーボン除去実践
- 5.まとめ
排気ポートの確認
行程を省略しますが、エキマニを外して、排気ポートが見える状態にします。
熱でボルトが固着していることが多いですが、がんばって外しましょう。
コルトは前方に排気ポートがあり、エキマニを外すと十分なスペースが出来ます。
状態を確認しますと、結構積もっている部分が見受けられます。
全面的に多かれ少なかれカーボンが溜まっています。
バルブステムからオイルらしきものが染み出しているポートもありました。
ファイバースコープで見ると、バルブ直後の部分に厚く積もっているところがあります。
ちなみにこのエンジンは10万キロ時点でヘッドオーバーホールをして、13万キロの時点で今回のようにエンジンコンディショナーで排気ポートのカーボンを除去したもので、現状15万5千キロです。
このカーボンは2万5千キロ走行で堆積したものとなります。
ピストン上死点の合わせ方
点火プラグをすべて外し、プラグホールからワイパーのゴムにはさまっているステンレスの棒を差し込みます。
当方の車はMTなので、ギアを3速に入れます。
片輪ジャッキアップして、ホイールを回すとクランクが回り、ピストンが上下します。
ATの場合は、クランクシャフトボルトにレンチをかけて回す必要があります。
セルモーターでまわしてどんぴしゃのところで止めるのは難しいと思います。
差し込んだ棒が一番高いところに行ったら、その気筒は上死点となります。
吸気バルブ、排気バルブ共に閉じている状態です。
排気ポートに液剤を流し込みカーボンを除去するため、排気ポートに溜まりやすいように、フロントを上げ気味にします。
使用してみた液剤
今回、実験を兼ねて4種類の品を試してみました。
左から以下の順番となります。
- サンエスのメタルクリーン
- KUREのエンジンコンディショナー
- WAKO’SのRECS
- 日本油化工業のハイカーボン
排気ポートのカーボン除去実践
まずメタルクリーンです。
製品の説明書に記載の濃度でお湯にとかし、スポイトで排気ポートに流し込みました。
歯ブラシでは横しか磨けないので、以下のようなブラシを購入しました。
ちょっと擦ると、真っ黒になりました。
反対の気筒にはRECSの原液を流し込みブラッシングしてみました。
ブラシですが、ご覧の通り、あまり奥までは届いていないようでした。
とりあえず、ブラッシングして10分ほど放置して、エアーで吹き飛ばしてみました。
こちらがメタルクリーン&ブラッシングしたものですが、ところどころ粒子状のカーボンが除去されました。そこそこ除去効果はあるようです。
こちらがRECS原液ですが、使い方がそもそも誤っているので、あまり除去できていません。
こちらがメタルクリーンをエアーで吹き飛ばしたポート状態です。
こちらはRECS原液をエアーで吹き飛ばしたポート状態です。
ブラシはあまり届かないということで、フレキシブルジョイントにエンドブラシを装着し、リューターで回転させて除去しようと試みました。
金属部分はポート内に接触して傷がつかないように耐油チューブで保護しました。
どこまで届くか確認します。
バルブステムのところまでは届くようですが、バルブの傘の部分までは届きませんでした。
エンドブラシで届く部分を一通り磨いてみました。
RECS原液はあきらめて、ここからはエンジンコンディショナーを使用しました。
粒子状のカーボンが大量に除去できます。
メタルクリーンは70度ほどの温度で使うのがよいのですが、冬場のエンジンだと、お湯を使っても直ぐに冷えてしまうので、車載のエンジンのカーボン除去にはあまり向いていませんでした。
何回か繰り返していると、ポート壁面のカーボンが完全にはがれているところが出てきました。
エンジンコンディショナーを流し込み、ブラシで擦り、しばらく放置。
そして再びエンジンコンディショナーを追加して、エアーで吹き飛ばすということを繰り返します。
エンジンコンディショナーを用いてもなかなかカーボンが除去できません。
数回程度ではバルブの傘周辺はなかなか除去でませんでした。
30分くらいかけて作業してもまだまだこのレベルでした。
ポート間の部分はブラシが届きやすいので綺麗になっています。
エアー噴射時に下手をするとあちこち飛び散って結構大変です。
漬け置きしている間に休憩しながら、何度も繰り返していると、アルミ地がだいぶ見えてくるようになりました。
バルブシートとヘッドのアルミの境もわかるようになるくらいカーボンが除去できました。
こちらはハイカーボンを使用し、エンドブラシで擦ったところです。
ハイカーボンが泡立ちもこもこな状態になりました。
ハイカーボンも粒子状のカーボンがかなり除去できました。
こちらがハイカーボン1回目のエアブロー直後ですが、まとまってはがれ始めている部分が見られます。
こちらはエンジンコンディショナーです。4種類の中ではエンジンコンディショナーが一番除去力があるようでした。
ハイカーボンも70度くらいで使用するのが一番効果がでるので、今回の使用状況では本領が発揮できなかったと思います。
カーボンを急速に冷やすとはがれないかなと思い、強力冷却剤で冷やしてみましたが、剥がれ落ちることはありませんでした。単なるスプレーではドライアイスショットのようにはなりませんでした。残念。
エンジンコンディショナーも漬け置きだけだとなかなかカーボンが取れませんが、物理的に擦ったりすると、そこからエンジンコンディショナーがしみ込み除去につながります。
なので、ワイパーの棒をちょっと曲げて、カリカリ引っかいてみる作戦に移行しました。
あまり強くやるとアルミ地やバルブに傷をつけるので慎重且つ大胆に。
引っかいた部分のカーボンは除去できました。
ファイバースコープで状況を確認し、取れていないポートを重点的に実施します。
繰り返せば繰り返すほど除去はできるのですが、手間と時間との闘いです。
このポートが割りと綺麗に除去できた部分です。
エンジン非分解でここまで除去できればなかなか良いのではないでしょうか。
残っている部分も、なにかしらの方法で突くことができれば除去することは出来ると思います。
エンドブラシに付けていた耐油チューブがはずれて、ステムに傷をつけてしまった部分もあります。
バルブの傘部分に引っかき傷みたいのがありますが、ここはワイパーの棒で擦れている部分かと思います。
この後もさらにエンジンコンディショナーの漬け置きなどを繰り返し、夕方で暗くなり始めた時点で作業を中断しました。
30分くらいの漬け置きを何度かし、その間休憩しながらで4時間くらい作業しました。
時間があれば、半日くらいきっちり漬け置きするとカーボンもふやけて、除去できるかもしれませんが、時間の都合で今回は出来ませんでした。
まとめ
こちらは10万キロ時点でヘッドを開けたときに確認した排気ポートですが、ポート壁面に最大3mmくらいカーボンが堆積して、ポートの断面積が減っていました。
こうなると高回転でパワーダウンしているかもしれません。
今回のはだいたい2万5千キロくらいの堆積分ですが、エンジン非分解でここまで除去できました。
ここ最近は街乗りで早め早めのシフトアップで回転を上げたり、ブーストをかけることも少なく、排気ガスの流速も遅く、カーボンが溜まりやすい状況だったかと思います。
除去後は、若干エンジンの回転にパンチが出た感じがします。高回転はそのうち高速道路でも走って確認したいと思います。
課題としては排気ポート内をくまなくブラッシングできるブラシや工具を用意することかなと思います。
また、他のエンジンクリーナーやキャブクリーナーでより強力な製品を見つけることが出来れば、効率よく除去できるかなと考えています。
最終的には直噴エンジンのインテーク側を除去するのが目的なので、いろいろ試して効果的な方法を探して行こうと思います。
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