吸気バルブのカーボンはどうなっているか?
以前、スイスポ(ZC33S)のPCVバルブ側にオイルキャッチタンクを設置し、オイルミストによるカーボン堆積を防ぐ対策をしました。
キャッチタンクを装着したのが、走行距離約17000キロ。走行距離24000キロとなった現時点で確認してみました。
悲しいことに、これが現実です・・・
このスイフトはオイルキャッチタンク装着時にインマニを外し、キャブクリーナーを吹いたことがあるのと、RECSを2回施工している車両です。
にもかかわらずこのような状況となっていました。
目次
- 1.スロットル、インマニ取り外し
- 2.カーボン堆積状況確認
- 3.エンジンコンディショナーでカーボン除去
- 4.カーボン除去実施後
- 5.スロットル、インマニ装着
- 6.まとめ
スロットル、インマニ取り外し
吸気バルブの状態確認のために、インマニを外さなければなりません。
まずはエアクリーナーボックスを外します。
エンジンを切った直後は各部が熱いので、グローブをはめて作業しましょう。
エアクリーナーボックスやインテークホースは問題なく外せると思います。
いろいろ外すものが多いので、どこになにが付いていたか分かるように、写真を撮っておいたほうが安心です。
インテークのホースは固着して外れない場合があるので、潤滑油を吹きかけて、内装はがしのヘラのようなものをつっこんでひねると外しやすいです。
大物が外れたらあちこちセンサー類やハーネスの固定クリップを外していきます。
ハーネスは樹脂のステーでボルト留めされているのでこの辺りも外します。
ハーネスを固定している部分は大方外す必要があります。
良く分からない方はサービスマニュアルを用意しましょう。
スロットル脱着での最大の敵がこちらの縦に通っているハーネスです。
これがスロットルを引き抜く際に邪魔で作業を困難にしています。
このハーネスをずらすためにつながってるハーネスのクリップやセンサーを外します。
第二の難関。
オルタネーターについているセンサー。斜め上からマイナスドライバーで固定箇所を押しながら外す方向に押すと取れます。
ここは経年劣化した場合、ポロっと折れそうで怖いです。
ハーネスをずらすためにオルタネーターの配線も外す必要があります。
ここの作業の前にバッテリーのマイナス端子を外しておきましょう。
インマニにつながっているホースなども外します。
これはスロットルを外した状態ですが、スタッドボルト分、引き抜かなければならず縦に走るハーネスがどうしても邪魔になります。ハーネスをぐいっとずらして、スペースを作るとなんとか引き抜くことができます。
オイルキャッチタンクの効果かスロットルの汚れはほとんどありませんでした。
※オイルキャッチタンク装着後、7000キロ走行。
裏側も綺麗で驚きました。
最後にインマニを固定してるボルトを外します。
インマニ裏にもハーネス固定のクリップがあるのでこれも外します。
PCVバルブにつながるホースのクリップも外すと、ようやくインマニがフリーになります。
カーボン堆積状況確認
さて、K14Cエンジンの状態はどうなっているか?
まずは基本の点火プラグのチェックから行いました。
プラグ外周は真っ黒ではなく、燃焼状態は非常に良いようです。
コルトは直ぐに真っ黒になるのに・・・
ピストンヘッドも確認してみました。
一面、カーボンは付着していますが、それほど厚みはないように見えます。
他の気筒はこんなかんじ。
ピストンの高さが違う状態で撮影しているので、大きさに違いがあります。
うっすらアルミ地が見えている部分もあるのでそれほど問題ではないと思います。
さて、問題の吸気バルブです。
インテークポート自体がオイリーで黒いカーボンの粒も付着しています。
バルブステム周りが特に蓄積しています。
バルブのかさの部分にもカーボンが付着しているのが良く分かります。
そこそこカーボン対策をしてきたのにこの惨劇とは・・・
メーカーにはポート噴射も併用するエンジンを出してほしいと切に願います。
コスト面などで難しいのでしょうかね。
エンジンコンディショナーでカーボン除去
本当はドライアイス洗浄でカーボン一粒残さず除去したいところですが、そんなのはDIYでは不可能なので、エンジンコンディショナーで除去を試みます。キャブクリーナーでもよいですが、泡タイプが良いと思います。
エンジンコンディショナーを吹き込む前に、吸気バルブを閉じておく必要があります。
プラグホールにワイパーの骨のステンレスのバーを差し込んで、片側ジャッキアップで4速あたりに入れてタイヤを回すとクランクをまわせます。
ピストンが一番上がった状態で止めると、吸気バルブは閉じた状態となります。
外側両方と内側2箇所が同じ高さになるので、2回に分けて作業を行いました。
ポート内についていたオイル分はエンジンコンディショナーでかるく除去できます。
エンジンコンディショナーを噴射し、しばらく漬け置きします。
泡が減ってきたら追加で噴射します。
漬け置きと何度か追加噴射でポート壁面はきれいになっていますね。
たまった液剤が真っ黒です。
バルブステムの頑固なカーボンはなかなか溶けてはくれないようです。
さらに歯ブラシでゴシゴシこすってみます。しかし、形状が悪く、あまりカーボン堆積場所をうまく擦ることは出来ていないようです。
その後、ペーパータオルを押し当ててエアダスターを突っ込んで、強制排出させます。
エアブローで飛ばした液剤をキャッチしたペーパータオルがこちら。
5mm角ほどの大物も取れました。
この作業を1気筒につき、3度ほど繰り返しました。
もう少し、うまく除去できないかと、歯ブラシを薄く加工しました。
ポートが小さいので、なかなかかゆいところに届かない状況は変わりませんでした。
カーボン除去実施後
ある程度除去はできましたが、バルブの地肌が出るくらいまでやるのは相当大変そうです。
1時間くらい格闘しましたが、カーボンを擦れる形状のブラシがないと難しいですね。
バルブシートとの合わせ面手前に残っている量を見ると、だいぶ除去は出来ているようです。しかし、カーボンを噛み込みそうで怖いですね。出来れば綺麗に除去したかったです。
バルブステム部分も大きく除去できている部分もあります。
ここのカーボンは強力に固着しているようなので、ブラシよりもヘラ的なもので突いたほうが取れるかもしれません。
定期的にインマニを外して作業をするしかなさそうです。しかし、これくらいであれば、燃費ダウンやパワーダウンはそれほど無いのかもしれません。
スロットル、インマニ装着
カーボンを完全に除去できなかった心残りはあるものの、時間的制約等で、戻し作業を行います。
難所はやはりスロットルの部分です。ハーネスをずらして、スタッドボルトを通すところが難しいです。
スロットルが付いてしまえば、あとはいろいろ組み付けるだけです。
センサーのつけ忘れの無いように確認をしっかりしましょう。
スロットルとインマニのガスケットは再使用不可となっています。
まとめ
やはり直噴エンジンの吸気バルブへのカーボン堆積は避けられない問題のようです。
RECS2回程度では太刀打ちできないこともわかりました。
しかしながら、インマニを外して、エンジンコンディショナーなどで洗浄すればカーボンは除去できることは確認できました。
完全に除去するには時間と、理想的な形状のブラシなどを用意する必要がありそうです。
その辺りも含めて改善や対策を見つけて行きたいと思います。
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