ギターのフレット交換をしたいが・・・
20年ほど前に入手したグレコのギター(GV-70)ですが、フレットもだいぶ減り、錆も激しい。ボディも友人から受け継いだ時点で一部割れていたりと、だいぶぼろくなっている状態でした。
フレットも錆びて輝きを失っています。
錆びた弦で弾いていたのが原因かもしれませんが、フレットもだいぶ減っています。
練習もほとんどせず、部屋のインテリアと化していましたが、やはり良い状態にしておきたいと思い、フレットを交換してみたいと思いました。
目次
- 1.フレット交換のやり方、工賃など
- 2.フレットの選定
- 3.フレットを抜く
- 4.フレットの打ち込み
- 5.フレットの端の処理
- 6.フレットの擦り合わせ
- 7.フレットの高さ調整
- 8.フレットの形状修正
- 9.まとめ
フレット交換のやり方、工賃など
フレット交換ですが、ギターショップでプロにやってもらう方法と、自分で交換する2択があると思います。
ネットで工賃を調べてみると、4万~5万円というのが多いように思えました。
安いところで、1万5千円~2万円といったところもあるようでした。
交換の仕方としては以下のような流れでネットやyoutubeなどでもやり方は調べられるので、それらを見ていたら、何とかなるかなと思いました。
- フレットを抜く
- フレットをはめる
- フレットを切断、研磨
- フレットの擦り合せ
ギター本体が7万円くらいなのに、フレット交換で5万はちょっとなぁということなので、自分でやってみることにしました。
工具やフレット合わせても1万円以下でいける想定でチャレンジしてみることにしました。
フレットの選定
フレットにはニッケルのものと、ステンレスのものがあります。耐久性はステンレスのほうが高いですが、高音がきつくなるなどの特性があるようです。
当然、当方は耐久性重視なのでステンレスフレットにすることにしました。
しかしながら、フレットのメーカー、種類が多々あり、どれにしたら良いか良く分かりませでした。
ネットでフレットについて検索し、amazonや楽天、ヤフーショッピングで値段を確認した結果、FreedomCGRのステンレスフレット(speedy)に決めました。
FreedomCGRのステンレスフレットにも種類があり、以下がありました。
GV-70のフレットは測ってみると幅2.70mm、高さ1.00mmくらいのようで、ちょっとフレットを高めにしたいとおもい、SP-SF-01Sを購入しました。
品番 | 種類 | 硬度 | 幅 | 高 | タング幅 |
SP-SF-01S | SPEEDY | HV-210 | 2.40mm | 1.30mm | 0.60mm |
SP-SF-02S | SPEEDY | HV-210 | 2.70mm | 1.00mm | 0.60mm |
SP-SF-03S | SPEEDY | HV-210 | 2.80mm | 1.40mm | 0.60mm |
海外製品用もあります。また、柔らかな暖かい音色のwarmという種類もあります。
くわしくはこちら(freedomcgrのステンレスフレットのページ)を参照してください。
こちらが購入したSP-SF-01Sです。
フレットにあわせた形状には自分で曲げて加工する必要があるようです。
フレットを抜く
フレットを抜く際に、指板が一緒にはがれてしまうということが多くあるらしく、レモンオイルやオレンジオイルで湿らせておくと、はがれにくいという記事をみたので、オレンジオイルを購入しました。
ティッシュに数滴たらして、塗ってみます。
色が濃くなり艶がでましたね。たっぷり塗っておきます。
ステンレスも対応しているらしいカッターを購入しました。
端からこのプライヤーで締めていくと、フレットが浮いてきます。
1個所で抜こうとするのではなく、端から端まで順にフレットを締めて行きます。
こんなかんじで、ポロっと取れます。
指板のはがれも最小限ですみました。
続けて、どんどん抜いていきます。
端までタング(フレットの溝にはまる部分)があるのかと思っていたら、何かで埋めてあるようでした。
なので、本来はレスポールのようなギターと同様にタングの端を処理するのが正解だったと思いますが、このあとでやらかします。
一部、指板がフレットと共にはがれたところがありますが、フレットをはめると隠れる部分がほとんどでした。
指板を整えるため、2000番の紙やすりで磨きました。
今までの汚れが落とせました。
外したフレットがこちら。
端の埋まっているところをカッターで除去しようとしたら、塗装が割れました。
タングを処理すればよかったと後悔です。そのうちギターの再塗装もやってみようと思っていたので、まぁいいかと次に進みます。
フレットの打ち込み
フレットは木をあてて叩く方法と、フレットをプラスチックハンマーのようなもの直に叩く方法があります。
当方は前者の当て木作戦でやりました。
家に何かしらよい木材があるだろうと思っていましたが、こんなのしかなかったのでそのまま実施しました。
もう少しサイズが適切なものを使えばよかったと今は思います。
事前に、フレットにRをつけます。ネックのRよりすこしきつめにつけると、端が浮き上がらないでよいと思います。
端が浮くと、フレットの擦り合せがなかなか終わらなくなるので、ここがうまくいくか、いかないかの重要なポイントだと思います。
初めはしっかりはめようと、強く叩いていましたが、適切なやりかただと、それほど強く叩く必要はないということがわかりました。
これはやってみないとなかなかわかりませんね。
端が浮かないようにRをつけるのが最重要です。
下記の感じだと、打ち込んだ際に両端が若干もどるので、端が浮いてしまう可能性があります。実際このフレットは後々、低音側が、若干浮いてビビリるようになり、擦り合せで苦労しました。
このギターは22フレットですが、結構大変です。
フレットの端の処理
カッターでフレットのはみ出しているところを切ります。
ギリギリが良いかと思いましたが、つぶれた形状がいけてない状態になるのが何箇所かあり、ちょっと余裕を持って切って、削ったほうがいいのかもしれません。
削る労力とトレードオフですかね。
ステンレスフレットは硬いので、カッターのほうがやられました。
ただ、この状態でもまだ切れますし、カッター自体を研磨すればまだまだ使えそうです。
端の処理ですが、楽をしようとベルトサンダーを持ち出しました。
これは失敗です。真似しないようにしましょう。
削るのは楽ですが、指板の余計な部分を盛大に削ってしまいました。
研磨力の高い電動工具はギターには使わないようしたほうが無難なようです。
ごらんの有様です。手でヤスリで仕上げるのがよさそうです。
手持ちのヤスリは粗すぎて削りにくかったのでリューターに頼りました。
こちらも研磨力があるので、かなり慎重に作業する必要があります。
のちのち塗装するつもりなので、ネックのサイド部分を含めて、紙やすりで研磨してみました。
指板と一緒にフレットの端も処理できました。
多少研磨しましたが、タングの端の部分の塗装割れはもっと削る必要があります。
再塗装時にがんばろうと思いました。
単に削っただけだと、手に引っかかるし、滑らかではありません。
フレットの擦り合わせ
お次はフレットの擦りあわせです。
指板を傷つけないようにマスキングテープで保護します。
金属の定規で確認します。
他に高いところがあるとこんな感じで隙間がでます。
ホームセンターでヤスリ掛けの工具を購入し、800番のヤスリで削ります。
あらかじめ高いところをマジックでしるしをつけて削りました。
この辺はフレットの端が浮いてしまって高くなっています。
個別に削ります。
フレットの端も滑らかに削っていきます。
手をスライドさせても痛くならない程度に磨きます。
箇所も多く、地味でつらい作業です。
仕上げはリューターを使い、バフと青棒で磨きます。
ここは研磨力が低いので、電動工具を使うのが一番楽ですね。
あっという間に磨き完了です。
端もなめらかに仕上がり、鏡面チックになります。
全フレット同じように磨いていきます。
バフはあっという間にボロボロに・・・
予備をいくつか用意しておくのが良いです。
フレットの高さ調整
フレット交換もほぼ終わりかと思っていたら、そうは行きませんでした。
見た目的には結構いけてるですが、弦を張ってみると・・・
フレット打ち込みで端が浮いてしまったところがやはり高く、ビビリます。
もしかしたらギリギリいけると思っていたナットもだめでした。フレットが高くなったせいで、1フレットがビビリます。
全フレットを確認し、ビビリのある箇所をメモります。
レスポールに多い型のブリッジですが、ブリッジを外すことで、弦の張りなおしをせずに再び弦を張ることができます。
再びマスキングをします。ビビるフレットにマジックで印をつけます。
ビビるのはやはり1弦と6弦の端っこですね。
個別にフレットを削っていきます。
やはりフレット打ち込みが肝ですね。適切に打ち込みが出来ていれば、擦り合せは最小限ですむはずです。
再びブリッジを戻して、弦を張ってまた確認します。
ビビりが直らないところは再び削ります。
これを何度も繰り返していきます。
かなり時間と労力を使う作業です。工賃が高いのもうなずけます。
フレットの形状修正
フレットを削りまくっていたので、フレットの頭が台形になってしまい、それがさらにビビりにもつながるので、フレットの頭の形状を整えます。
手持ちで適切なヤスリが無かったので、ホームセンターでダイヤモンドヤスリを購入しました。
さらにフレット交換で調べていたときに、0.1mmのステンレス板で保護するやり方をしている方がいたので、真似させてもらいました。
フレットをステンレス板で挟み、テープで繋ぎます。
ダイヤモンドヤスリで削っていきます。
指板を傷つけないので、思い切って作業が出来ます。
ヤスリでステンレス板も削れるので、穴が開いていないかチェックしながら作業します。
大雑把にダイヤモンドヤスリで仕上げたら紙ヤスリで仕上げていきます。
これまた地味でつらい作業になります。ヤスリの傷が消えるまで研磨します。
仕上げはリューターでバフと青棒です。
あとはどこまで時間をかけてクオリティーを求めるかという感じです。
まとめ
フレット交換、一応出来ましたが、多少コストがかかっても、安いジャンクギターなどで練習してからやったほうが良いと思いました。
お気に入りのギターでぶっつけ本番はやめたほうが良いかもしれません。それか相当に時間をかけて、慎重に作業を行うかですね。
ナットの高さが足りず、1フレットがビビる課題はありますが、フレットもすごい滑らかで、いままでビビりまくっていたのが普通だと思っていたのですが、音が一音一音綺麗になるようになり、うまくなったような錯覚さえでるほどに見違えました。
費用は1万円かかってませんが、とりあえずフレット交換できてよかったです。
次はナット交換ですね。これまたナットも種類も形状も多々あり、悩みそうです。
■関連ページリンク