圧縮を測ってエンジンの状態を確認しよう
走行距離が伸びてくると気になるのが、エンジンの状態だと思います。
距離が進むにつれ、パワーダウンしているのではないかと想像しますが、仮にパワーダウンしていても、徐々に進むものなので、気が付かないと思います。
エンジンの圧縮を測るツールがあるので、これで数値的にエンジンの状態を確認してみようというのが今回の目的です。
目次
- 1.圧縮について
- 2.コンプレッションゲージ
- 3.圧縮を測る(コルト)
- 4.圧縮を測る(アルト)
- 5.圧縮を測る(インプレッサG4)
- 6.まとめ
圧縮について
エンジンの作動行程として、吸気、圧縮、燃焼、排気がありますが、圧縮が下がるということは、次の工程の燃焼が効率的に行えないということになります。つまりパワーダウンですね。
圧縮が下がる要因として、シリンダーヘッドと吸排気バルブとの気密性が下がっているということと、シリンダーとピストンリングの気密性が下がっているということのいずれか、または両方になります。
コンプレッションゲージ
圧縮を測るにはコンプレッションゲージが必要です。プロ用の高いものから、ノーブランドの安いものまでありますが、厳密な数値ではなく、下がったかどうかなどの判断に使うのであれば、それほど高価なものを用意する必要は無いと思います。
当方が購入したのはSTRAIGHTのコンプレッションテスターセットです。
点火プラグのネジ径も3種類用意されているので、大抵のエンジンに使えるのではないかと思います。
圧縮を測る(コルト)
まずはコルト(Z27AG)を測りました。
走行距離は15万キロを越えました。10万キロ時点でヘッドオーバーホールをしましたが、ピストン周りは弄っていません。
だいぶ圧縮も下がっていると思われるので、圧縮を測ってみました。
まずはエンジンを暖めます。本当は80度くらいまで暖めるのが良いと思いますが、オイル交換後にちょっとエンジンをかけて、油温が70度になったところで良しとしました。同じ条件で測ればよいと思います。ちなみに水温は80度ちょっとでした。
圧縮を測るには点火プラグを全部外した状態でコンプレッションゲージを装着し、セルを回して1気筒づつ測ります。
そのままだと、燃料噴射が行われてしまうので、燃料噴射をしないようにします。
どうやるのかというと、燃料ポンプのヒューズを外します。普段グローブボックスに入れたままの車の説明書にヒューズ一覧があるので、そちらで確認しましょう。
コルトの場合はグローブボックスを外すと見えてくるヒューズボックスの上から3段目に燃料ポンプのヒューズがあるので、これを外しておきます。
バッテリーが弱っているとセルの回りが重くなって正しく測れない可能性があるので、バッテリーを充電しておきます。
当方が使っているのはセルスターのDRC-300というものですが、それほど高いわけではないですが、使い勝手も良いですし、乗用車の大きなバッテリーも充電できます。
年1回くらい補充電してあげると、バッテリーの寿命も延びると思います。
点火プラグを抜いて、かわりにゲージを取り付けます。アタッチメントがプラグのネジのようになっているので、まわして固くなるまで締めて行きます。シリンダーヘッド側にのこらないようにロックする機構(黒の部分)もあるので安心です。
ホースとアタッチメントを装着してからゲージを繋ぎます。
アクセルを全開に踏んでセルを回します。当方はきゅるきゅるきゅるきゅると4回くらいエンジンがまわったところでセルを戻しました。
スロットルを開いて測るのですが、電子スロットルの場合、ちゃんと開いているかは不明です。
一番左の気筒は1080kpaくらいでした。
左から2番目は1100kpaくらい。
左から3番目は1070kpaくらい。
左から4番目は1090kpaくらいでした。
これで15万キロ時点の現状が把握できました。
点火プラグやオイルを交換するタイミングで計測しておくと、エンジンの状態が比較できると思います。
じつは13万キロ時点でも計測していました。
このときは右の気筒から測っていました。
一番右の気筒は1140kpaくらいでした。
右から2番目の気筒は1110kpaくらいでした。
右から3番目の気筒は1140kpaくらいでした。
右から4番目の気筒は1150kpaくらいでした。
比較すると以下のようになりました。
全面的に下がっていてショックでした。特に1気筒目が70kpaも下がっていました。
特にパワーダウンは感じてませんでしたが、数値でみると現実を突きつけられますね。
気筒は左から順 | 1気筒目 | 2気筒目 | 3気筒目 | 4気筒目 |
13万キロ時点 | 1150kpa | 1140kpa | 1110kpa | 1140kpa |
15万キロ時点 | 1080kpa | 1100kpa | 1070kpa | 1090kpa |
エンジンオーバーホールせずに圧縮を回復する方法は多々あるので、いくつか試してみたいと思います。
例としてあげるとワコーズのRECSやNUTECの圧力圧縮回復剤などがあると思います。
圧縮を測る(アルト)
アルト(HA36S)も測ってみました。
5万キロを越え、新車時よりはパワーがなくなってきたかなという気もする今日この頃です。
同じく、事前にバッテリーを充電します。充電器の診断では良好となっていましたが、条件を同じにするために充電します。
アルトも同じように燃料ポンプのヒューズを外しました。結果としては不要な作業でした。
良く見るとわかりますが、エネチャージ装着車はスターターとなっており、スターターが回らなくなりました。燃料噴射装置のところしか見てませんでした・・・
参考までに位置をお知らせします。
エンジンを暖めたら、冷めないうちに点火プラグを外します。
一本だけ、ネジ部がまっ黒なプラグがありました。一番右の気筒でした。
左の気筒から測って行きます。
アルトはブレーキを踏まないとエンジンがかからないので、ブレーキとアクセルを踏みながらスタートボタンを押します。
踏み間違い防止装置が付いている車だとどういう状況になるのだろう?
ターボのコルトと比べて、NAなので、圧縮が高いのかなとおもっていたら1090kpaくらいでした。
真ん中は1160kpaくらい。
右の気筒は950kpaくらい・・・
まさかと思い、何度か計測しましたが、結果は変わらず。点火プラグのネジ部が真っ黒だったのと関係があるのだろうか?
気筒差が激しいですが、特にアイドリングも普通だし、走行に支障は出ていません。
3気筒目の低い問題を何とかしたいところです。
気筒は左から順 | 1気筒目 | 2気筒目 | 3気筒目 |
5万キロ時点 | 1090kpa | 1160kpa | 950kpa |
圧縮を測る(インプレッサG4)
最後にインプレッサG4(GJ7)も測ってみました。
こちらも5万キロを越えた車両です。
エンジンオイル交換後に油温を70度になるまで暖気しました。
G4の燃料ポンプのヒューズはエンジンルーム内にあります。
一番右下の青いヒューズでした。
点火プラグを外さなければならないのですが、水平対抗エンジンなので、ちょっと手間がかかります。エンジンが冷え切らないうちに手早く行う必要があります。
準備できました。エンジンは始動しませんが、チェックランプが付くのを恐れて、エアフロのコネクターを繋いだ状態で測定しました。
こちらもアクセル全開にして、セルを回します。
コルト、アルトでは考えられない数値がでました。左手前の気筒は1400kpaでした。
左奥の気筒は1450kpaでした。
右奥の気筒は1410kpaでした。
右手間の気筒は1340kpaでちょっと他と比べると低いのが気になりました。
気筒 | 左手前 | 左奥 | 右奥 | 右手前 |
5万キロ時点 | 1400kpa | 1450kpa | 1410kpa | 1340kpa |
一番良い気筒と悪い気筒で110kpaも差があるのがちょっと気になります。
まとめ
こんなかんじで、ある時点で圧縮を測定しておくと、状態がそのままなのか、悪いほうに向かっているのかなど判断材料になります。
バッテリーの状態やエンジンの暖気具合、エンジンオイルの粘度や状態によっても差が出てきますので、できるだけ同じ条件で計測するのが良いと思います。
今回、3車両はいずれもエンジンオイル交換後に測定しました。次回、3000キロ走行後にまた計測したいと思います。
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