上がりにくくなったシザースジャッキをオーバーホール
足回りのメンテや下回りの作業には欠かせないアイテムとなったマサダのシザースジャッキ。
最近、上げ始め時に小さいストロークで油圧がかからないのか、アームがなかなか上がっていかないことが多くなりました。
一度、無負荷状態で大きくストロークさせると上がっていき、リリーフバルブを緩めてアームを縮めると、エア抜きされるのか、小さいストロークでも上がる様にはなっていました。
購入したのはいつだろうと、メールを探してみたら2013年で、9年間も使っていたことに気が付きました。
一度もジャッキオイルの交換やOリングの交換などオーバーホール的なことをしていなかったので、今回チャレンジしてみました。
目次
シザースジャッキの分解
シザースジャッキを分解して行きます。
手始めにポンプ部分を外します。固定しているクリップを引き抜きます。
ピンを抜いて、上方向に引き抜けます。
オイルタンクのゴムキャップを外します。
マイナスドライバーなどでこじると外れやすいです。
ゴムキャップを痛めないようにしましょう。
外れました。無くさないように注意しましょう。
逆さにしてオイルを抜きます。
購入したジャッキオイルと比べると色がだいぶ変色していました。
続いてリリーフステムを取り外します。ハンドルをつなげて緩めていくと外れます。
先端の摩耗も少ないようでした。ここに段付きが出来ると漏れの原因になるので、その場合は研磨が必要かと思います。
Oリングも特にひび割れ等も無かったので再利用します。購入したOリングのサイズが間違っていたため、交換できなかったのが実情です・・・
内部にまだオイルが溜まっているので、出来る限りオイルを排出しておきます。
下側のアームの付け根がピンとEリングで固定されているので、マイナスドライバーなどでこじってEリングを外します。
左右2個所とも外します。
ピンを押し込むと反対側に押し出されるので引き抜きます。
外れました。グリスは残っていましたが、劣化していそうです。
アームを上側に引っ張ってシリンダーから引き抜きます。
外れにくい場合は軽く左右に回しながら引き抜くと抜けやすいかもしれません。
特に摩耗もなく、状態は問題なさそうでした。
シリンダーをのぞき込むと結構汚れているようでした。
再びオイルを排出します。
一段階色の濃いオイルが出てきました。
パーツクリーナーであちこち洗浄します。
シリンダー内部もパーツクリーナーで洗浄しました。
Oリング、バックアップリングの交換
シリンダー部分のOリングを外します。
精密ドライバーのマイナスなどを使って外すのが良いと思います。
こちらはポンプ部分と違って径が大きいので簡単に外せます。
外周部分が若干傷んできているかなといった程度でした。
使用上は問題なさそうでした。
続いてバックアップリングを外します。
続いてポンプ部分のOリングを外します。
径が小さく、精密ドライバーの角度もあまり付けられないので取り出すのに苦戦しました。
ここはOリング用のピックアップツールがあった方が確実ですが、持っていなかったので、精密ドライバーで対応しました。
こちらは外周部分がかなり傷んでいました。
続いてバックアップリングを外しますが、これまた苦戦しました。
交換するので、曲げたり押したりして取り出しました。
切れている端を浮かせラジオペンチで引き抜きました。
かなり変形させてしまいました。
汚れが結構たまっていました。
ポンプ部分の内部もかなり黒く汚れがあるようでした。
取り出したOリングとバックアップリングです。
バックアップリングに汚れがかなり付着していました。
Oリング、バックアップリングを交換していきます。
アーム部分が入るところはP30のOリングを使用しました。
ヤフーオークションでオーバーホールキットが販売されていますが、当方は予備として複数ほしかったので、モノタロウで個別に購入してみました。
オーバーホールキットはオイル注入口のゴムキャップやクリップも付属しているので、オーバーホールキットを購入したほうが便利だったかもしれません。
バックアップリングも同様にP30のサイズの物を使用します。
Oリングを嵌めて行きます。
バックアップリングはOリングの上側に装着します。
入りました。
バックアップリングは切れ目のところがきっちり合っているかを確認しましょう。
続いてポンプ部分です。こちらはP8の物を使用しました。
径が小さいので取り付けはなかなか難しいです。
マイナスドライバーで溝に合うように調整します。
続いてバックアップリングです。
こちらもなかなか難易度が高いです。
Oリングの上側にはめるのが難しいです。
マイナスドライバーで誘導しますがなかなか嵌ってくれません。
精密ドライバーで押し込んでようやく嵌りました。
こちらもバックアップリングの切り口が合っていることを確認します。
シザースジャッキの組み立てとジャッキオイル交換
リリーフステムのOリングにグリスを塗っておきました。
リリーフステムを締めこんで行きます。
シリンダーを入れるので、圧が抜けるように軽く緩めておきます。
アーム本体を取り付けます。
まっすぐ上から嵌めて行きます。
中々入らない場合はバックアップリングが飛び出ていないかを確認しましょう。
無事に装着出来ました。
下側アームをピンで固定していきます。
ピンにはモリブデングリスを塗布しておきました。
ピンの溝がアームの外側に出てこなかったので、ウォーターポンププライヤーでアームを締め付けながら、Eリングを溝に引っかけました。
アームの位置によってもピンの頭の出具合が違うようでいろいろ試してみました。
この後もう一度ばらしたのですが、アームを一番降ろした状態だと、ウォーターポンププライヤーで締め付けなくてもEリングが嵌めれる状態になっていました。
Eリングが溝に嵌ればクリアしたも同然です。
ウォーターポンププライヤーをEリングとポンプ分の底に当てて締め付けて装着しました。
マイナスドライバーを当てて、ハンマーで叩いても嵌めれると思います。
左側は固定完了です。
右側はオイルポンプ部分が邪魔なので難易度が上がりました。
Eリングが溝に引っかかったら、マイナスドライバーを当ててハンマーで叩いてEリングを押し込みます。
無事に左右装着完了しました。
この作業が一番手こずりました。
ポンプ部分も慎重にはめて、ピンを通し、クリップで固定します。
ジャッキオイルはVG32の粘度の物を購入しました。
オイル注入穴ギリギリまで入れて行きます。
ちょっとあふれたら注入ストップです。油量は40cc程度と思われます。
ゴムキャップを装着しますが、なかなか嵌らないので、マイナスドライバーで押し込みます。
この際、ゴムキャップを痛めないように気を付けましょう。
オイルの注入も完了しました。
ハンドルを上下したり、アーム本体を上側に引っ張たりしていると、油圧がかかるようになってきました。
アームを上げてリリーフステムを緩めるを何度か繰り返します。
ジャッキオイルが大量に余ったので、一度フラッシングを兼ねてオイルを抜いてみました。
左側がフラッシングで抜いたオイルですが、色はきれいなままでした。
小さい汚れが数個取れた程度でした。
ポンプ内部をパーツクリーナーできちんと洗浄できていればフラッシングは必要なさそうです。
再びジャッキオイルを注入します。
シザースジャッキのエア抜き
最後にエア抜きをします。
まずはアームを上げて行きます。
逆さにして、リリーフステムを緩めてアームを縮めていきます。
無理に押し込まず、自然な感じで下げていくのが良さそうです。
これを何回か繰り返しました。
車両をジャッキアップして作業をする前に、ジャッキアップ後、しばらくたっても下がってこないことを確認してから作業するようにしましょう。
まとめ
気が付いたら9年も使っていて、ジャッキオイルもかなり変色して内部も汚れていたので、オーバーホールしてすっきりしました。ジャッキの上がり方も改善されたので、まだまだこのジャッキで車の整備が出来そうです。
当方の作業としてはポンプ部分のOリング、バックアップリングを嵌めるところと、アーム下のEリングを装着するところが難しかったです。
壊すことは無いと思うので、Oリング、バックアップリングも予備を用意しておけば、心配ないと思います。
組付けミスでジャッキが下がって車の下敷きになっては洒落になりませんので、組付け後の確認はしっかりすることが大切かなと思いました。