空燃比セッティングをしたいが、ノーマルの空燃比は?
NAで非力なアルト(HA36S)を少しでもパワーアップしたく、サブコンのシエクルを導入しました。
しかし、そもそも純正の燃調がどうなっているのかもわからず、一般的に言われている、空燃比を薄い方向にするのでよいのかわかりませんでした。
また、薄くするにしてもどこまで薄くして良いかもわからないため、空燃比計を導入して、空燃比を確認してみることにしました。
空燃比を計測する方法として、フロントパイプなどにセンサー接続のボスを溶接して空燃比を確認する方法と、純正のO2センサーを取り外して、代わりに空燃比計のセンサーを装着して確認する方法があります。
今回は後者のやり方で確認を行います。しかし、その場合、純正O2センサーの値をECUが読み込んでいて各種フィードバック制御を行っているため、単純に純正O2センサーを外すと、チェックランプが点いたり、空燃比制御が出来なくなります。
今回用意したPLXの空燃比計はナローバンド出力という純正のO2センサーの値と同様の値を出力できるので、その値をECUに読み込ませて、純正同様の制御を行いつつ、空燃比を確認したいと思います。
目次
- 1.空燃比計(PLX)の取り付け(O2センサー外し)
- 2.空燃比計(PLX)の取り付け(ナローバンド入力)
- 3.空燃比計(PLX)の取り付け(配線等の接続)
- 4.アルト(HA36S)の空燃比実走確認
- 5.まとめ
空燃比計(PLX)の取り付け(O2センサー外し)
まずは純正のO2センサーを外します。
センサーのカプラーは下の方にあり、外しずらいところにあります。
冷却水のリザーブタンクを外すとアクセスできます。
カプラーの受け側がクリップで固定されています。
固定を外さなくても慣れると外せますが、両手が入るスペースは無いので、コネクタを外すのがちょっと大変です。
4極のカプラーでした。
O2センサーを外すにはこのような専用のレンチが必要になります。
緩めようとしましたが、うんともすんとも緩まないので、潤滑剤をネジ部分に吹き付けます。
以前はワコーズのラスペネ信者でしたが、最近はこちらを愛用しています。
吹き付けて、数分放置してから再度チャレンジしたところ見事に緩みました。
エクステンションが豊富にあると便利ですね。
空燃比計(PLX)の取り付け(ナローバンド入力)
外したO2センサーです。
燻りもなく、問題なく機能しています。
4極カプラーですが、O2センサーのヒーターの線が2本、センサーの出力が1本、アースが1本だと思います。
ネットの情報と抵抗値を調べて、ヒーターの線は特定できました。
配線を切った貼ったしたくなかったので、純正O2センサーのカプラーと同じものが無いか調べたところ、無事発見できました。
「住友電装040型HX【防水】シリーズ4極F側コネクタ」
端子も別途購入しました。
ヒーターを疑似的に再現するために、抵抗を取り付けました。
ネットの情報を参考に1.5kΩの抵抗を付けてみました。
抵抗は大きめの熱収縮チューブで保護しました。
下側2本がヒーター線で、右上がO2センサー出力線、左上がアースとなっています。
空燃比計(PLX)の取り付け(配線等の接続)
空燃比計は常時装着ではなく、確認時だけにするつもりなので、電源はシガーソケットから取ることにしました。エーモンのシガーソケットを購入し、ハンダ接続、10Aのミニヒューズ管を使って、シガーソケットを作成しました。
空燃比計のナローバード出力をECUに読み込ませるため、作成したカプラーのセンサー出力線をつなげます。
純正O2センサーの代わりにPLXのセンサーを取り付けます。
純正O2センサーのカプラーには作成したカプラーを接続します。
アースはバッテリーのマイナス端子に装着しました。
暫定取り付けなので、ボンネットから一旦外に出し、ドア経由で室内に引き込みます。
メーターや電源など接続していきます。
純正のO2センサー入力へはナローバード出力(0-1V)をつなぎます。
とりあえず、メーターはナビの画面に両面テープで貼りました。
アルト(HA36S)の空燃比実走確認
空燃比の情報だけだとどういう状況での値かがわからないので、OBD2の情報も一緒に確認することにしました。
スマホアプリでエンジン回転数、スロットル開度、燃料調整の値を確認します。
空燃比計を取り付けてエンジンを始動しました。
空燃比は理論空燃比の14.7付近を行ったり来たりします。
始動直後、エンジン回転が低く、空燃比の調整値は下記の右下の項目のように-25%に張り付いて、エンストしそうな状態が数秒続きました。
10秒ほど経つと、センサーが温まり始めたためか、通常のエンジン始動後のアイドリングの状態と同じになり一安心しました。
それでは実走確認です。
まず感じたことは通常の街乗りでは、ほぼ理論空燃比の14.7を目指す制御が効いているということです。信号が青になったり、坂道でちょっとアクセルを踏み込んだ程度では空燃比は濃くならず、常にO2センサーのフィードバックで理論空燃比となるようにセッティングされているようでした。
かるくアクセルを踏んで、スロットル開度が30%を超えても空燃比は濃くなりません。
上り坂でも同様でした。
アクセルを全開にすると、スロットル開度は87.45%に固定されますが、100%にはならないようでした。
当方のアルトはCVTなので、エンジン回転数が上がって6000回転くらいで維持されます。
ここでようやく空燃比が13あたりになりました。
なおもアクセルを踏み続けていると空燃比が徐々に濃くなっていきます。
スロットル開度40%、エンジン回転数4000回転弱でもO2センサーのフィードバックは有効で理論空燃比に近いです。
そこからアクセル全開にすると補正値が0%になり、空燃比が濃くなっていきます。
アクセル全開時間が短いと空燃比が濃くなる前にアクセルを戻すことになります。
長い加速が必要で、アクセルを踏み続けていくと12より濃くなりました。
確認できた一番濃い状態が11.5でした。
まとめ
パワーが一番出るといわれている出力空燃比は12~13の間とされるのですが、CVTのアルトの現状としてはアクセルを踏んでもすぐにはこの出力空燃比の値にならなず、アクセルを踏み続けていくと出力空燃比より濃い値になるという状態であることがわかりました。
出力空燃比が13と言っている人もいれば、12.5と言ってる人もいて、実際のところよくわからないのですが、最終的にマージンを持たせて、一番濃くなる値が12になるようなセッティングにできればよいのかなと思いました。
今後はシエクルにより燃調をちょっといじって確認して行こうと思います。
ただ、シエクルで出来るのはアクセル全開を長時間したときのケースという非常に限られた範囲になってしまうのかなと思った次第です。