イグニッションコイルを流用して点火強化
以前、ギリシャからコルト用のイグニッションコイルを装着してトルクアップして満足していましたが、半年ほどで故障してしまい、純正に戻していました。
社外イグニッションコイルのトルク感がほしくなり、あれこれ調べたところ、純正最強と呼ばれるイグニッションコイルの情報を得ました。
日産ADバンのLPG車用のイグニッションコイルです。
RBやSRエンジンでは流用チューンとして使われていて、ガスコイルと呼ばれているようです。こちらのHPの記事を参考にしました。
下記は日立製のその互換品になります。このコイル(U08001-COIL)を取り付けることにしました。
目次
- 1.イグニッションコイルの性能について
- 2.ガスコイル(U08001-COIL)導入(コイル加工)
- 3.ガスコイル(U08001-COIL)導入(ハーネス作成)
- 4.ガスコイル(U08001-COIL)導入(取り付け)
- 5.ガスコイル(U08001-COIL)導入(火花確認)
- 6.まとめ
イグニッションコイルの性能について
イグニッションコイルはコイルの巻き数や電流を流せる時間のドエルタイム、流す電圧によってエネルギー蓄積量が決まってきます。
このガスコイルは点火しにくいLPG車用に作られており、特にドエルタイムが長くとれるようです。要はイグニッションコイルの容量が大きいということになります。
このガスコイルの性能を引き出すにはドエルタイムを長くする必要があり、ECUのリセッティングが必要になります。
当方はECUリセッティングではなく、昇圧器を使って電圧を上げているため、この容量の大きいコイルを使用することで、無理なく点火させることができると考えました。
ガスコイル(U08001-COIL)導入(コイル加工)
コルト純正と比べると長さはほぼ同じで問題なさそうです。
固定用の穴の位置が異なります。ここを何とかする必要があります。
高さはちょっと高いため、エンジンヘッドと隙間ができます。
内側に5㎜程ずらさないと無理そうでした。
ということで、固定穴の加工を行います。まずコイルに嵌っているカラーのようなものを外します。
リューターで削っていき、切り目を入れます。
鉄粉が盛大にコイルの磁石に付きました。
完全に切り目が入ったらひとまず削る作業は終わりです。
あとはマイナスドライバーでたたいて抜きます。
コイル本体に無理な力がかからないようにしましょう。
すんなりとれる場合もあれば、結構がっつり嵌っているものもありました。
カラーが抜けたら長穴化していきます。樹脂なのでガンガン削れます。
試行錯誤で穴を大きくし過ぎましたが、ボルト穴が完全に見えるようになるまで削ります。
ワッシャーで抑えるのでもよいですが、純正っぽい感じにしたいので、スペーサーを取り付けます。大陽ステンレスのスペーサーを用意しました。
長さ14㎜のスペーサーを頭ちょっと出たくらいで取り付けるとエンジンヘッドにピッタリになる予定です。あらかじめ接着剤を一部塗り、コイルに固定します。
裏から見るとこんな感じ。カラーがまっすぐになるようにします。
上側をマスキングテープで覆います。
一部裏側もマスキングします。
JBウェルドで埋めてしまいます。もう一種類、速乾じゃない物があり、そちらのほうが強度も耐熱性も高いのですが、色がこちらの方がコイルの色に近いので速乾タイプにしました。
2液タイプで混ぜると硬化が始まるタイプです。
こいつをコイルの裏側から流し込んで固めます。
流し込んで固まったらマスキングを外します。
粘度が高く、一度では隅々まで行きわたらなかったので、表側からも再度流し込みました。
固まったあと、余分な部分をカッターの刃で削ります。
この後3000番くらいの紙やすりで磨いたらかなり違和感なく仕上がりました。
ガスコイル(U08001-COIL)導入(ハーネス作成)
ガスコイル側はカプラー形状が違うのと、コルト純正イグニッションコイル側もオス側のカプラーを用意する必要があります。
日産のRBやSRエンジン車と共通のようでした。
バッテリーから直にプラス電源を共有するため、リレーを用意します。
万が一に備えてヒューズも間に入れます。20Aのヒューズを入れました。
カプラーの端子を付けていきます。
青はイグニッションコイルへの信号の線にしました。
ガスコイルはコイルの一番左が信号線でした。コイルの頭にも書いてあるので間違えないと思います。
配線はエーモンの0.75sqのものを使っています。
以前作ったハーネスはMILスペックのものを使ったりしましたが、そこまでしてもコストパフォーマンス的に得られるものは少ないと判断しました。
ちゃんとはまっているか確認します。
とりあえず信号線だけつないでみました。
エンジンヘッドの気筒間の距離を測って同じくらいの間隔にします。
アースは4本をまとめて同じくエーモンの2.00sqの配線にまとめます。
アースが真ん中で電源がコイル側から見ると右側になります。
コルト側は信号と電源が逆になります。
プラス側も同じように途中でまとめて2.00sqの配線につなぎます。
繋ぐ方法ですが、4本を一旦まとめました。
キボシの大きい側のはめる部分を切り取ります。
これで配線を固定します。
こんな感じで圧着してつないで固定します。
ハンダで固定して完了です。他にいいやり方があるかもしれませんが、当方的にはいまのところこれが確実でいいかなと思っています。
熱収縮チューブを2重にして完成です。
配線の接続は完了です。
コルト側のカプラーの一つのプラス電源をリレーの入力に使用しています。
リレーのアースはコルト側のカプラー一つのアースにつないでいます。
あとは保護チューブを巻いて完成ですが、ここの仕上がりで見た目が決まります。
出来るだけ配線をまとめて一つのチューブに入れると綺麗になると思いますが、あまりこだわらないことにしました。
使用したカプラー、端子は以下の通りです。
ガスコイル側
住友電装090型62防水シリーズEタイプ3極Fコネクター(灰色)端子別
矢崎総業090型62防水シリーズEタ イプF端子(WS付)
コルトハーネス側
住友電装090型DL防水シリーズ3極Mコネクタのみ(端子別)
住友電装090型HX/DL/SL防水シリーズオス端子(Mサイズ)茶色ワイヤシール(Mタイプ)付
ガスコイル(U08001-COIL)導入(取り付け)
まずは純正イグニッションコイルを外します。
ブローオフバルブとインテークのホースの下を通してバッテリー方面に通します。
純正ハーネスと接合したらインテークホース下あたりにまとめます。
カプラーをしっかり嵌めます。
そのままでも装着できますが、プラグホールに水やほこりが入るのを防ぐために、純正コイルについているゴム部品と入れ替えます。
コイルの径がほぼ同じなので、違和感なく装着できます。
コイル固定の穴もばっちりです。
装着した状態はこんな感じになります。
ハーネスができるだけ干渉しないように取り回しを調整します。
エアクリーナーのダクトの下を通します。
バッテリーホルダーのねじ部分にリレーを固定しました。
ガスコイル(U08001-COIL)導入(火花確認)
当方のコルトは昇圧器を使ってイグニッションコイルへの電圧を上げています。
上げ幅は変動しますが、1~1.5vほど上げています。
点火チェッカーを40000vに設定すると、純正コイルでは昇圧状態でも5回に2回ほどしか火花が飛びませんでした。
ガスコイルに入れ替えて確認しましたが、毎回火花が飛びました。
ただし40000v以上に設定すると数回に一回になったので、ギリギリ40000vになっているという感じのようです。
まとめ
実際に走ってみると、バッテリーを一度外してECUがリセットされて燃調が濃くなった時のようなトルク感が出ました。
翌日、高速道路を長距離走りましたが、巡航も楽ですし、ちょっとアクセルを踏めば加速していく感じで高速走行が楽になったのを実感できました。
ただ交換しただけだと、コイルが新品になった分、劣化していたのが戻った程度ですが、電圧を上げたり、ECUをいじってドエルタイムを伸ばすことでガスコイルの真価が発揮できると思います。
以前、ギリシャから取り寄せたコイルはNAのコルトのコイルだったので、ターボのドエルタイムには対応できなかったため、早い段階で故障してしまったのかなと思います。
コイルの性能テスターやECUリセッティングは機材やノウハウも必要でむつかしいですが、安全マージンを取りつつ、性能を引き出すにはそれ相応の費用や知識が必要になるのだなと思います。
純正コイルを長期間、長距離使用しているのであれば、リフレッシュがてらガスコイルに交換するのもありかと思います。
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