スロットルスペーサーで低速トルクが良くなる?
ネットの記事やYoutube動画を見ていると、スロットルスペーサーというものを付けると、低速トルクが上がって出だしが良くなるとか、レスポンスが向上するなどの情報がありました。
これはぜひとも試してみたいと思ったのですが、効果が無かったり、ビッグスロットル導入で径が異なるので加工が必要だろうと思い、自作にチャレンジしてみました。
型に合わせて切って、穴開けるだけだからそんな大変じゃないだろうと思い始めたわけですが、かなり大変でした(笑)
自作にチャレンジする方の参考になればと思います。
目次
- 1.アルト(HA36S)のインマニ、スロットル径を測定
- 2.スロットルスペーサーの形にアルミ板を切断
- 3.スロットルスペーサーの形に形状修正(研磨)
- 4.スロットルスペーサーの穴あけ
- 5.スロットルスペーサーの仕上げ・完成
- 6.まとめ
アルト(HA36S)のインマニ、スロットル径を測定
手始めに作成するスロットルスペーサーの形状を決める必要があります。
インマニ、スロットル両方の型を取ります。
インマニの径は41mmでした。
純正スロットルの径は38mmでした。
こちらは先日導入したビッグスロットルで、径は40mmでした。
ここで問題となるのが、スロットルとインマニの径が異なるため、段差となっていることです。図で表すとこんなかんじです。ビッグスロットルだと差は1mmに減りますが、改善したいところです。
今回自作のスロットルスペーサーはこの段差をなだらかにする機能を持たせたいと思います。
具体的にはスロットル側とインマニ側がそれぞれ合うようにテーパー形状にしたいと思います。これで段付きは無くなるので、壁側の空気が渦を巻いたりすることはなくなるのではないかと想定します。
型を取っていくんですが、ほぼ全面に糊が付いているポストイットを使いました。
これをインマニに貼って跡を付ける作戦です。
貼って、押し当てて、鉛筆でなぞって形状が分かるようにしました。
スロットル側も同様です。
一旦、純正スロットルで型を取ります。ビッグスロットル用には径を拡大していく方向で対応可能です。
同じようにポストイットで型を取りました。
スロットルスペーサーの形にアルミ板を切断
材料は100×100×10mmのアルミ板です。
Amazonで1000円で購入できました。
市販品は5000円前後や高いものだと1万円以上します。これで作成できるならば安上がりだ!と思っていました。
ポストイットを貼ります。削る量を少なくするため、端に貼りました。
問題はこの厚みですが、すんなり切れるものなのだろうか・・・
アルミは砥石などが目詰まりしやすいので、専用の切断砥石を買ってきました。
グラインダー&切断砥石で切っていきます。
電動工具なら楽だろうと思っていましたが、10mmのアルミ板を切断するのはかなり大変でした。
これは大変だぞ・・・と思いながらもやるしかないので、熱い中作業続行です。
アルミで柔らかいだろうから、10mmくらい問題ないと思っていましたが、なかなか手ごわいです。
1ヶ所も切れていないのに、砥石がだいぶ減りました。
市販品はレーザーカットとかで一瞬で切れるんだろうなと思いつつ、切断作業続行です。
ようやく手で曲がれる位、溝が掘れました。
一箇所切断完了です。まだまだ長い戦いになりそうです。
切断砥石を2個購入していたのですが、摩耗が激しいので、残りは糸鋸で切ることにしました。
これがまた全然進みません。電動工具ですらあんなに時間がかかったのだから当然なのですが、30度を超える気温の中でする作業じゃないですね・・・
もうちょっとで切れるというタイミングで急に雨が降っていたので、作業中断。
そんなことを繰り返して、作業を進めました。
いやぁ大変でした。自作を考えている人はまずこの切断作業が大変だということを認識しましょう・・・
スロットルスペーサーの形に形状修正(研磨)
考えた型に合わせて削っていきます。
サンドペーパータイプでまずはチャレンジします。
これまたなかなか削れず、時間がかかりそうな予感でいっぱいです。
少しずつでも進めるしかありません。
削っていくと革手をしていてもアルミ板がかなり熱をもち、持てなくなるので、すこし冷やしてから再開という感じで、これまた時間がかかる要因となりました。
アルミより鉄を削る方が楽ですね。
一辺が大体形になってきました。残りも進めます。
まだまだ削らなければなりません・・・
トータル時間はどれくらいかわかりませんが、1時間くらいは格闘したのではないでしょうか?綺麗なおにぎり形状に加工することが出来ました。
これに穴を開けなければいけません・・・
アルミの厄介なところは砥石などの目を詰まらせてしまうところですかね。
切れ味が落ちてさらに時間がかかってしまいます。
スロットルスペーサーの穴あけ
つづいて、ボルト穴と空気が通る通路の穴あけを行います。
事前にポンチで印を付けました。
ボルト穴より小さいドリルでまずは穴を開けました。
ボール盤があればまっすぐ穴を開けれますが、ハンドドリルだとなかなか難しいです。
しかも10mmだとなおさら斜めになると、裏側の位置のズレが大きいです。
真ん中もホールソーで穴を開けるので、そのための中心穴を開けます。
中心のつもりがだいぶズレました・・・
一つ小さいサイズで穴をあけ、削って拡大する作戦にします。
小さいサイズでも予定していた径の位置ギリギリでした。
これまた削る量が多いので今から気分が落ち込みます。
ホールソーで穴を開けていきます。かなりひっかかるので、弱めに押し当てて、時間をかけて穴を開けるようにしました。
一部貫通し、グラグラしてきたので、グリグリ押して分離させます。
開きました。インマニ、スロットルの径まで拡大する必要がありますが、ようやくスロットルスペーサーっぽくなってきました。
ここまで長い戦いでした。まだまだ続きます・・・
ボルト穴ですが、裏から見ると、かなりずれてしまいました。
このまま太いドリルで穴を開けるとずれてしまうので、リューターでまっすぐな穴に修正していきます。
これまた地道な作業です。
表、裏を確認しながら削り過ぎないように注意します。
ここを失敗すると台無しになるので、慎重に進めます。
ドリルの穴開けの結果が許容範囲だったのが救いですね。
表側の位置を拡大しつつ・・・
裏も合わせていく必要があるので、結構手間です。
これが3箇所あるので、地味に面倒です。しかしやりきるしかありません。
なんだかんだでまっすぐな穴に修正できました。
スロットルに合わせてみてもきっちり合っていたので良かったです。
最後の戦いです。
空気の通路の穴拡大に取り掛かります。
スロットル側のほうが1mm径が小さいので、スロットル側から削っていきます。
これまた大変な作業でした。
ここにきてリューターの調子が悪くなったり、発熱でリューター、スロットルスペーサーが熱くて持てなくなったりし、冷やすための作業中断が発生してなかなか進みません。
リューターのモーター部分は80度にもなっていました。
連続稼働は15分ですが、30度以上の気温のせいもあるのか、5分程でかなり熱くなりました。
後にわかったことですが、ベアリングがすでにダメになっていて、抵抗も多きく、モーターの負荷になっていたのかもしれません。
「プロクソン(PROXXON) ミニルーター(28400)の修理にチャレンジしてみた」
ときどきスロットルに合わせて確認しながら削っていきます。
インマニ側もだいぶ削れました。マジックを引いたところまで拡大できたので、あと少しです。
ここからはどこまでこだわるかの範疇になります。
かなり疲れていたので、大きな段差がなければいいやくらいの気持ちになっていました。
スロットルスペーサーの仕上げ・完成
仕上げにサンドペーパーで磨くことにしました。
以前、エンジンヘッドのポート研磨の際に作っておいたものがあったので、それを使用。
紙やすりを巻いて端をガムテープで固定し、ドリルの刃に差し込んだものです。市販品を買うと高いので、これを大量に作っていました。
ざらざら状態だと抵抗になると思ったので、気にならないレベルまで削ります。
合わせ面にも軽くサンドペーパーを当てて細かい傷を消しました。
1000番の紙やすりで仕上げました。
見た目も気にして側面も磨きます。装着してしまえばほぼ見えませんが・・・
完成まであと一歩です。
スロットルとの段差はほぼ無くせた感じです。
側面はコンパウンドで磨いて光らせました。
完成です。かなり大変でしたが、満足感は大きいですね。
結構うまくできたと思い、磨いたスロットルスペーサーを見ながらしばらくニヤニヤしていました(笑)
まとめ
1000円のアルミ板を発見し、型に合わせて切って穴を開けるだけだから、安上りで出来るなと思っていたのですが、かなり大変でした。
もう一個作れと言われてもやりたくないですね。特に夏場は絶対嫌です。
当初構想していた、インマニとスロットルの段差をなくすのもうまく取り込めたので、取り付けて効果が出ることを祈りたいところです。