しつこい燃焼室のカーボンにエンジンコンディショナー
17万キロを超えたコルトですが、4番シリンダーでオイル下がりが発生しているようで、御覧の通り、ピストントップに大量のカーボンが堆積していました。
AZの燃料添加剤FCR062を使用していますが、なかなか完全にカーボン除去まで至っていないので、エンジンコンディショナーを直接プラグホールから噴射し、カーボン除去をしてみることにしました。
目次
- 1.燃焼室の確認と燃料添加剤の効果の確認
- 2.燃焼室にエンジンコンディショナー噴射
- 3.エンジンコンディショナーの廃液抜き取り
- 4.エンジン始動~100キロ走行後の確認
- 5.オイルフィルターの確認
- 6.まとめ
燃焼室の確認と燃料添加剤の効果の確認
オイル下がりで大量のカーボンが堆積していた状態だったので、燃料添加剤FCR062を2回連続投与しました。まずはその状態から確認します。
一番右の気筒のみオイル下がりが発生しているようです。
こちらが燃料添加剤2回連続投与前の状態です。
ここからどれだけカーボンが除去できているか確認します。
1番シリンダー:左上
2番シリンダー:右上
3番シリンダー:左下
4番シリンダー:右下
※以降この配置で画像を貼っています。
右下の4番シリンダーだけカーボンがすごいです・・・
2回連続投与後の状態です。
あれだけ酷かった4番シリンダーのピストントップのカーボンはかなり除去されていました。
4番以外は逆に増えているような気も・・・
燃焼室上側のカーボンが溶けて、ピストントップに移動したのかもしれません。
ファイバースコープのカメラを側面に切り替えて排気バルブ側を確認しました。
バルブの間にはカーボンがかなり付着しています。
吸気バルブ側です。4番シリンダーの吸気バルブのカーボンが多めですね。
効果はある様ですが、2回連続で入れてもこのような状態です。
一旦、完全に綺麗にしたいので、エンジンコンディショナーで落としてみようという作戦です。
排気バルブにはあまりカーボンは付着しておらず、バルブ間にカーボンが堆積するようです。
吸気側は燃料添加剤で溶けかかったカーボンが付着しています。
投与し続ければ綺麗になるのだろうか・・・
燃焼室にエンジンコンディショナー噴射
まず、ピストントップのカーボンを落とそうと思います。
ピストンの高さを揃えます。
ワイパーの骨のステンレスバーをプラグホールから差し込みます。
コルトはMTなので、片輪ジャッキアップしたのち、ギアを5速に入れ、浮いているタイヤを回してピストンの位置を調整しました。
1速や2速では動きませんが、5速にすると動きます。
エンジンコンディショナーもいろんなメーカーが出していますが、呉の製品を選びました。
コスパの高さとゴムなどの影響が比較的少ないところが決め手です。
噴射しやすいようにロングノズルを別途購入しました。
一つあればよいのですが、セット品しか見つけられず、以下の製品を購入しました。
エンジンコンディショナーをプラグホールから燃焼室に向けて噴射します。
4気筒それぞれ噴射しました。
噴射直後、ファイバースコープで確認してみました。
噴射したてなので、泡で何も見えませんが、すでに泡が茶色くなっています。
カーボンが溶けているということだと思います。
追加で噴射。
結構な量を使うことになるので、丸まる一缶使い切る感じです。
20分程放置して、再びファイバースコープで確認してみました。
しっかり液剤が溜まっています。
20分程度では完全に溶かし切ることはできないようです。
エンジンコンディショナーの廃液抜き取り
このままクランキングしてプラグホールから液剤を吹っ飛ばすやり方をしている方もいますが、シリンジで廃液を抜き取ることにします。
シリンジにチューブをつなげて抜き取ります。
かなり茶色くなった液剤が抜き取れました。
抜き取ったらプラのコップに入れ、次の気筒の廃液を抜き取ります。
ここでコップをひっくり返すことが予想できたので、ガムテープでシリンダヘッドに貼り付けました。
結構濃い色です。
続いて、燃焼室上側にもエンジンコンディショナーを行き渡らせたいため、ピストンの位置を上に調整します。
再びエンジンコンディショナーを噴射します。
しばらく放置し、抜き取ります。
ピストンが低い位置の気筒もピストン位置を高くして、エンジンコンディショナーを噴射して抜き取るを実施しています。
粒子状のカーボンも取ることが出来ました。
ここで終わりにしてもよいのですが、クランキングして取りきれなかった液剤を吹っ飛ばします。
プラグホールの上にウエスを置いて、セルを回します。
粒子状のカーボンが飛んできました。
多少、液剤も残っていたようです。
時間とエンジンコンディショナーに余裕があれば、この作業を繰り返したり、一日漬け置きしたりすると、さらにカーボン除去が出来ると思います。
この状態で燃焼室の様子を確認してみました。
かなり除去できたと思いますが、頑固なカーボンがまだ付着しています。
なかなか一度では落としきれないようです。
側面カメラに切り替えてバルブ周りを確認してみました。
吸気バルブのカーボンはかなりふやけた状態になっています。
エンジンを掛ければ吹っ飛びそうな気もします。
排気バルブの方もかなり落とせました。
クランキングで飛び散った粒子状のカーボンがあるので、これを取るためにもう一度液剤をいれて抜き取るを実施したほうがよかったかもしれません。
シリンジですが、エンジンコンディショナーの影響か、ゴムの部分がふやけて使えなくなりました。消耗品と割り切るしかなさそうです。
エンジン始動~100キロ走行後の確認
点火プラグなどを元に戻し、エンジンを始動してみます。
数秒セルを回すと問題なくエンジンがかかりました。
白煙も最初に少し出た程度でした。
廃液を抜き取れている証拠だと思います。この手の作業でマフラーから大量に煙が出ているケースがありますが、カーボンが燃えているのではなく、液剤が燃えているだけなので、煙は少ない方が良いと思います。臭いも結構きついので近所迷惑にもなりますし。
ちょっとアクセルを踏み込んで回転を上げると黒煙が出ました。
空ぶかしだと近所迷惑なので、このあと実際の走行時に高回転までエンジンを回そうと思います。
100キロ程、走りました。
徐々に回転数も上げ、高速の合流などで高回転まで引っ張ったりもしてみました。
いまのところ問題もなく、非常にエンジンがスムーズに回る印象です。
特段不具合はありませんでしたが、良い方向に行っていると思います。
帰還し、ファイバースコープで確認してみました。
ピストントップにはカーボンが付着していました。
液剤で溶かされたカーボンがピストントップに付着した感じもします。
吸気バルブのカーボンはかなり剥がれ落ちたようです。
壁面に付いていた粒子状のカーボンも吹っ飛んだのか無くなっています。
排気バルブ周辺にはまだカーボンが残っているようです。
こちらは3番シリンダーですが、吸気バルブとその周辺にまだカーボンが残っています。
4番シリンダーの吸気バルブにはオイルらしきものの雫がありました。
やはりオイル下がりでオイルが垂れてきているようです(涙)
オイルフィルターの確認
最後にオイルフィルターの状態を確認してみました。
いつものようにパイプカッターでオイルフィルターを分解します。
エンジンコンディショナー噴射前に交換しておいたものですが、特にカーボンが大量に付着しているということはありませんでした。
よく見ると細かい粒子状のカーボンが捕獲されているようです。
目に見えて大きいカーボン粒子は無かったです。
オイルフィルターは無理に替える必要はないのかなと思いました。
まとめ
燃料添加剤ではなかなかとりきれないカーボンをエンジンコンディショナーで一気に除去してやろうと思いましたが、結果としては一度の施工では取りきれないということでした。
車種やカーボンの堆積状態によっては一度の施工でかなり綺麗になるケースもあるのでしょうが、当方のコルトではそこまでの結果にはなりませんでした。
とはいえ、施工後、さらにエンジンフィーリングはスムーズでトルクフルになった感じがするので、やった意味はあったと思います。
動画も上げていますので、よろしければご覧ください。
実施される方は、くれぐれもウォーターハンマーでエンジンを壊すことが無いよう注意して実施してください。液剤の抜き取りと、点火プラグを外してのクランキングをしていればまず大丈夫だとは思います。