クーラントがLOWレベルを下回った
スイフトスポーツ(ZC33S)に乗っている会社の後輩がユーザー車検を通したのですが、ちゃんと点検はしていないということで整備を手伝うこととなりました。
特にクーラントについては、いつのまにかLOWレベルを下回っているということで、補充するくらいなら、交換しちゃえば?ということになり、クーラントを交換しました。
クーラントは青いスズキスーパーロングライフクーラントで、初回は7年、15万キロ交換不要という代物。個人的には本当にそんなに持つの?と疑問があるのでその検証もしてみようと思いました。
作業工程をご紹介します。
目次
スーパーロングライフクーラントの排出
スーパーロングライフクーラントは初回交換は7年、15万キロのいずれかのようです。3年ちょっとで3万3千キロの車両なので、本来は補充で十分です。
しかし、防錆性能や消泡性能は劣化してるんじゃないかと思い、交換を勧めてみました。
ちょうどラジエターから抜けるのが4Lほどなので、クーラントを2個購入すればちょうど良さそうでしたし。
エンジンが冷えてからクーラントを抜きます。その間にブレーキフルード交換をしていました。
ラジエター下部にドレインコックがあるのですが、アンダーカバーを外す必要があります。
下回りを覗くと、ビスが1個脱落して、アンダーカバー前面方向に隙間が開いていました。
高速走行すると風圧でめくれたりする可能性もあるので危険です。たまにチェックしたほうが良いかもしれません。
10mmのボルト6個とビス多数を外します。
オイルとオイルフィルターの交換のために一部だけ外せる構造になっていますが、ドレインコックはそれより前の部分にあるので、アンダーパネル全体を取り外す必要があります。
白いコックがドレインになります。
手で緩められます。緩めるとクーラントが排出されます。
プラグを全部抜くとドバっとでるので、完全に抜かず、緩めるので十分です。
下に受け皿を置いてクーラントを排出します。
排出にはそこそこ時間がかかるのでしばし待ちます。
ラジエターキャップを外せば、勢いが増すかなと思いましたが、たいして変わりませんでした。
ポタポタ滴るくらいになったら排出完了です。
油のようなものが浮いてる感じがしますが、廃油受けについてた油分と信じることにします。
4Lちょっと抜けました。
リザーブタンクの取り外し&洗浄
リザーブタンクのクーラントも排出するのと、タンクの底に汚れがたまっていないか確認します。
リザーブタンクは10mmのボルトの2個で固定されているので外します。
ボルトを外せば上に引き抜けます。
リザーブタンクのクーラント量はLOWを下回っていました。蒸発して減るようですね。
タンクの底には汚れもなく状態は良いようです。
タンク内部もすすいで元に戻します。
コックも閉めて、クーラントを入れていきます。
スーパーロングライフクーラントを注入
クーラントはスズキ純正のスーパーロングライフクーラントを用意しました。
50%に希釈済なので、注ぐだけです。
50%濃度で凍結温度は-36度のようなので、冬場にそんなに寒くならないのであれば、精製水で薄めることで冷却効率を上げることができるんじゃないかと思います。
その場合に防錆性能と消泡性能が落ちるかどうかはちょっと不明です。
ペットボトルでも可能ですが、クーラントチャージャーがあると便利です。
使用頻度がそれほど多くないので、コスパは微妙ですが・・・
抜けたのは4Lほどでしたが、3.5L位入れたところでクーラントチャージャー側にあふれてきました。
エア抜きとクーラントリカバリー
クーラントチャージャーにクーラントを満たした状態でエンジンをかけてエア抜きを行います。
たまに気泡が出ますが、スイフトはエアがなかなか出てこない気がしました。
エンジンが暖まってくると、サーモスタッドが開いてアッパーホースの温度も上がってきます。
ラジエターファンが回るまでアイドリングを続けました。
ヒーターの配管のエアを取るために、温度MAXにして送風状態にします。
エアが抜けてクーラントが足りなくなりそうな感じもあったので、排出したクーラントをコーヒーのフィルターでこして再利用することにしました。
結構時間がかかるのと、目詰まりしてなかなか落ちてきません。
ラジエターファンが回ってしばらくしたら一旦エア抜きを打ち切りました。
時間がかかるのと、アイドリングし続けるのも近所迷惑かなと思いますので。
クーラントチャージャーに残ったクーラントをリザーブタンクに入れました。
大体FULLの位置だったので、ラジエターキャップを閉めて、近所を走ってエアを抜く作戦にしました。
その辺をちょっと走って、エンジンを冷やすと、ラジエターの液面が下がっていました。
今回、クーラントの全量交換はしないので、性能を完全に取り戻すため、クーラントリカバリーを入れて防錆剤、消泡剤を追加します。
クーラントより水の方がよく冷えます。冬場にそれほど気温が下がらないのであれば、冷却効率を上げる為に精製水で薄めて濃度を下げて、防錆剤、消泡剤についてはクーラントリカバリーのような復活剤を足して補うというのが良いと思います。
オーナーはそれほど高負荷で走るタイプではないので、濃度はそのままの50%にしました。
キャップ面までクーラントを足して、ラジエターキャップを取り付けます。
ひっかかりが大きいので、強めに押しながら回す必要があります。
樹脂が劣化してそうな古い車の場合は慎重に行いましょう。ラジエター側が折れたりする恐れもあります。
再び、エンジンが完全に暖まるくらい近所を走ってきます。
エンジンがちょっと冷えたころで確認すると、リザーブタンクのクーラントが減っていました。冷えてクーラントの体積が小さくなり、エンジン側に吸い込まれたということです。
再びラジエターキャップを開けると液面が下がっていたので補充します。
リザーブタンクもFULLの位置まで入れます。
この後、長距離走ったあと確認してもらいましたが、クーラントは減っていなかったようです。ほぼほぼエアは抜けたようです。スイフトはエア抜けが良いのかもしれません。
アンダーカバーを取り付けて、クーラント交換作業は完了です。
消泡性能劣化検証
クーラントを抜き取ったら、やってみたくなる消泡性能の劣化具合の確認をしてみました。
排出したクーラントをペットボトルに入れて良く振ります。
泡がでるので、この泡の消える時間で消泡剤の劣化具合を計ります。
泡が残ると、冷却効率が落ちていることになります。
10秒後くらいでこのくらいの泡でした。
小さい泡まで消えるには1分くらいかかりました。
クーラントリカバリーを添加して消泡性能が改善されるかやってみます。
キャップ一杯分くらい入れて良く振ります。
5秒後くらいがこんな感じです。
40秒ほどで小さい泡まで消えました。
若干改善したようです。
以前、アルトに入れていたレーシングクーラントの劣化具合よりも全然良いですね。
多少性能劣化はしているようですが、さすがスーパーロングライフというところでしょうか。
防錆性能がどうなっているかはちょっとわかりませんでしたが。
環境負荷を減らすためのロングライフ化なんでしょうけど15万キロ交換不要ってホントに持つのかなとちょっと思ってしまいます。
交換および消泡性能確認の動画はこちらです。
まとめ
スーパーロングライフということで長寿命を謳っていますが、実は劣化してるんじゃないかと思っていました。劣化具合はわずかでまだまだ使える状態ではあったようです。
スイフトはクーラントの減る量が多いようなので、ライフというより、LOWレベルを下回らないように定期的なチェックが必要だと思いました。
希釈不要で楽なのですが、冷却性能を少しでも良くしたい場合は精製水で濃度を下げて、クーラントリカバリーのような強化剤で防錆、消泡性能を補うのが良いのかなと思いました。
ZC33Sのクーラント量はMTで5.4L、ATで5.6Lなので、4L抜けるのであれば、3年くらいで交換してもいいかなと思ってしまいます。
排出したクーラントはディーラーに引き取ってもらうか、高分子ポリマーで固めて、燃えるゴミとしてだそうかどちらかにしようかと思います。